記念日の贈り物

ウイルス騒動と体調がずっと不安定だったこともあって、すっかり忘れていたことがありました。

 

その日、息子と孫が「マックにするから、ご飯はいらないから」と出かけました。

息子たちはたいてい、私たちの分までテイクアウトしてくることが多いので、「お母さんたちの分はいらないからね。」と念押しして送り出しました。

 

すぐ戻ってくるかと思ったら、夕飯の時間にやっと戻ってきて、バタバタと二階へ上がっていきました。ただいまも言わないで、二階へ直行ってことは、何か秘密のもの買ってきたのだな、仲良し父子だもんなー。どっかいいところで食事してきたから、質問されるといけないから、まっすぐ二階へいったんだろう。夕飯はいらないだろうし、この分じゃ風呂に入る時まで降りてこないだろうな、と思っていたら、真っ白な胡蝶蘭の鉢と、ケーキを差し出して「爺、おばあちゃんおめでとうございます。きおらと一緒に選んだ二人からのプレゼント」と、満面の笑顔で、二人が居間にはいってきました。

 

えーー?おめでとうって、なあに?私の誕生日は7月だし、爺は11月だけど・・・・・?

『たしか49年目の結婚記念日だったとおもうけど、明日だったっけ?」

えーーーーー3月28日、そういえば結婚記念日。

 数えてみたら、計算間違いでなければ、49年目!!

うひゃ~~そんなに長いこと奴と一緒に暮らしてきたのか。

 

49年も一緒に暮らしていても、私たちは本当にかみ合わない夫婦。

夫から受けた結婚式当日の悪夢を、昨日のことのように鮮明に覚えていて、決して忘れることはないし、若いときに嫌いだった夫の様々な癖はいまだに微塵も慣れなくて大嫌いだし、人は変貌するものではあるけど、決して本性は変わらないものだと思う。

夫は夫のまま、私は私のまま、物事の価値観に関しては、決して交わることがない。それでも、そのうちひたすらじっと我慢しあって共同生活だけは続けてきたのだ。

きっと夫とて思っているだろうが、こういう結婚をしたことを一生の後悔,一生の不幸と思う。

 

自分に関することで、つらいことや苦しいことを話せば、苦しみやつらさは倍になり、幸福なことや楽しいことを話すと半減する、90パーセントは共鳴しあうことはなく、夫との会話が、幸福に発展することは、まずない。事務的連絡や必要事項以外、人としての優しさを求めたり、何かを期待したり、笑顔を交し合ったり語り合うなんてことは、願わないのが身のための関係だ。

それでも、一大事の時には、即座に協力体制ができ、義務と役割分担の信頼が瞬時に出来上がるところだけは、いつも不思議。

 

この前kumaさんの日記で、旦那様と花の咲く神社に散歩に行き、旦那様が「来年も二人で一緒に花が見られますように』って願ったといわれた一文をよんで、本当に寄り添いあって生きているってこういうことなのよねえ。心を大事にして寄り添いあっている人でなければいえない言葉だなあと、胸が熱くなった。

我が夫婦のように、連絡事項以上の会話をしないようにしている関係では、一緒に散歩したいとも思わないもの。

 

私の具合が悪くて、車で病院へ付き添ってくれても、決して支えてくれたり、歩調を合わせることなく、さっさと先に行ってしまう。その悲しいこと、寂しいこと、悔しいこと。

受付に診察券をいち早く出すとか、「何かをやる」ことに重きを置くのが彼流の価値観で、人により添うということができないのだと思う。何度か言ったことはあるけれど、それが苦痛なようで、あのタイプの人には、自分以外のペースに合わせるってことはできないようだ。

 

それに引き換え、孫は4~5歳のころ、私が靴を履こうとしても、

うまく片足で立てないの見て、「僕の肩につかまればいいよ。

僕がおばあちゃんの杖になってあげるから。」と言って、自分の体をぎゅうっと固くして、肩を貸してくれたことがある。

こんな幼い子が、「杖になってあげる」などと、こんなことを言ったり、できたりするものなのかと感激した。

6年生になった今でも、毎日家の周辺を一緒に散歩するのですが、外を歩くときは、ためらいもなく私に手を差し出し、手をつないで歩いてくれる。一緒にいるだけで、なんて幸せなこと。

 

結婚記念日の花とケーキのプレゼントの話からそれてしまったがこういうかみ合わない仮面夫婦の両親を見て育った三人の息子たちには、いい夫婦像を見せてあげられず、申し訳なかったと思うが、みな優しくていい大人になってくれて、ほんとにありがたいと思う。

 

いろいろな成り行きで、離婚した三男と一緒に暮らしているが、結婚したことを幸せに思っているわけではないこともあり、こんな高価な贈り物をしてもらって、とても申し訳ないような妙な気分だったが こんな不出来な親の結婚記念日を祝ってくれて、素直にありがとう。

 

 

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amebaのコメントの転載

 

 

 

 
>akudaikanさん
いつもコメントありがとうございます。 昔、互いの改善してほしいところを言っているうちに、語調激しく言い合いになったときに、そばにいた高校生だった長男が突然大声で、「やめろーー。二人ともそのままでいいよ!、なんも変わらなくていい。お父さんはお父さんのままでいいし、お母さんはお母さんのままでいい!」と叫びました。脳天ぶちのめされるようなすごい言葉でした。まさに、人との向き合い方の神髄を突いた天からの言葉でした。
息子たちの言葉には、ずいぶん救われたものです。

楽しいことが好きなakudaikanさんが、お金は妻に渡して、自分は一人でパスタを作って食べているっていうところに二人の距離を感じますが、娘さんがすごくいい役割をしていますね。
家族の間で、役割分担ができているのは、信頼と積み重ねがしっかりしているからだと思います。その土台に、≪うれしいことを話したら倍になり、つらいことを話したら半減する≫、そんな関係があったらほんとにほんとに文句なく幸せなんですけどね。

mieko_@

2020-04-23 07:48:26                  返信す